bakubakumanzai’s blog

劇団コバヤシライタ所属の漫才コンビです。

「爆発家族」

 

 

ヤス:バクバクです。

ミツ:バクバクですよー。

ヤス:この野に咲く花のような素朴さと美しさを持ったミツコさんと。

ミツ:トーテムポールに存在感が負けているヤッサンの2人で漫才やっていきまーす。

ヤス:ただただ傷つきました。

ミツ:何気ない日常がどれだけ幸せかが分かる作品が大好物です…

ヤス:あ、最近ツイッターで流行ったやつね。

ミツ:爆発家族

ヤス:流行りに意地でも乗っからないスタイルだね。何それ万引き家族じゃなくて。

ミツ:私が作ったからね。

ヤス:じゃあ私たちに知る手段がないよ。

ミツ:あー。100日後に死ぬワニの方ねー。テーマ曲を虎舞竜が歌ったやつ。

ヤス:手元で微妙にバットの芯を外してくるなぁ。なんでもないようなことが幸せだったと思うような話だけどもテーマ曲はいきものがかりですよ。でもあの100日後に死ぬワニの面白さってさ。100日後にかわいそうだけど死んじゃうってところにエモさがあると思うんだよ。

ミツ:(イノセントな目で)…え?

ヤス:じゃあ。あのさ。例えばちょっと考えて欲しいんだけど。ここに何気ない核家族の家があります。

ミツ:はい。

ヤス:家の中で色々日常があるよね。

ミツ:…日常ね。

ヤス:想像の話だから。あるんだよ。

ミツ:カラスミを干すことに執着を燃やしたり、ゲームギアの電池が切れる速さに悶絶したり、トーテムポールを大量に作ったり?

ヤス:日常が独特。まぁそんなこんなみたいな映像が15分あるとするね。それを見てさ。どう?

ミツ:え…。時間返せって思う。

ヤス:だよなー。

ミツ:だって普通に生活してるだけの映像でしょ?何にもないんでしょ?

ヤス:そう。どこにでもいる核家族の生活を見せられてるだけ。

ミツ:カラスミが消炭になったり、ゲームギアがマグマのように熱くなったり、トーテムポールが喋り出したりとかもないんでしょ?

ヤス:日常が独特なら非日常も独特。ないよ。そんな展開はないの。じゃあさ。もしこの家に確実に家がひとつ吹っ飛ぶ時限爆弾がセットされてたらどう?

ミツ:ええ!

ヤス:タイマーは15分。15分後にこの家は確実に吹っ飛びます。

ミツ:うわあ。

ヤス:その上でこの核家族の映像ってどうなる?

ミツ:さっきと変わらな…いや…違う…エモい

ヤス:ね?さっきまで時間返せって思ってた何気ない核家族の日常も少し後に爆発してなくなってしまうと思うと突然エモいストーリーになるでしょ?

ミツ:うわあああ。エモい!エモエモのエルモおおおおおおお。

ヤス:すごいでしょ?

ミツ:絶対にその核家族を助けてみせる!

ヤス:漫才の神様が二度見したと思うよ。

ミツ:とにかく爆弾が仕込まれていることを伝えないと!

ヤス:今から家族を助けるそうです。多少責任を感じてるので乗っかります。そうだね。避難さえすれば命は助かるね。

ミツ:ヤッサン二階にいるお母さんに爆弾があることを教えてあげて!

ヤス:オッケ。お母さん!どこの誰かも知らないですがとにかく家から離れてください!

ミツ:だけどお母さんはカラスミを作ってる時は情緒がアレになるのでした。

ヤス:カラスミを作ってる時は話しかけないで!って言ってるでしょ!もう何回言ったらわかるの!もういっつもいっつも同じ毎日…

ミツ:そして無慈悲な過剰攻撃。

ヤス:おりゃー!おりゃー!(何かを投げつける)

ミツ:降り注ぐは大量のトーテムポール。

ヤス:うわぁ大量のトーテムポールが降ってくるよ。このままだと爆発する前に死んじゃう!ガチャガチャ。あー玄関は鍵がかかってる…。じゃあ…。

ミツ:ここでヤッサンの目にうつるは今まさに舞い散るトーテムポール!

ヤス:そうか!トーテムポールで…。窓ガラスガチャーン!ここが子供部屋か!ガチャ!今すぐ逃げましょう。

ミツ:(無視)

ヤス:(イヤホンを外しながら)今どきゲームギアで遊んでて友達出来るかい?

ミツ:もうお父さん!部屋に入る時はノックしてって言ったでしょ!え?お父さんじゃない。

ヤス:教科書に載るほどのスムーズなノリツッコミのとこ悪いけどもお父さんじゃないよ。

ミツ:お父さんおかしいなぁ。もうそろそろ仕事から帰ってくる時間なのに。(イヤホンを付けようとする)

ヤス:へい、呑気呑気。こっちが言うのもなんだけど目の前に知らないおじさんがいるのにゲームギアしてる場合じゃないよ!

ミツ:(嘘みたいに下手な二度見)なんですか?ここ私の部屋ですよ?

ヤス:今までどうやって生きてきたんだよ。

ミツ:トーテムポールが喋った!

ヤス:喋ってるのはこっちだ。とにかくね。この家から逃げよう。

ミツ:ていうか静かにしてくださいよ。お母さんがカラスミを作ってる時は大きな声を出すと暴れ狂うんですよ。

ヤス:それはごめん。もうお母さんはトーテムポールを投げ散らかしてるから。でもカラスミが消炭になってしまう前に避難しよう。単刀直入に言うけどこの家はね。あと少しで爆発します!

ミツ:…それ逆の立場になってくださいよ。あなた。いきなり家に乗り込んできた人にこの家爆発しますって言われたらどうします?

ヤス:…警察呼んじゃう。

ミツ:ここでお父さんが帰ってくる!

ヤス:どうしたんだ、騒がしい。ん?誰だ君は?

ミツ:鋭い観察眼!

ヤス:その手に持ってるトーテムポールで窓ガラスを割ったんですね。えーと。警察に一緒にいきましょうね。

ミツ:ヤッサンをあくまで任意で署まで同行させるのかと思ったら!

ヤス:(思ったらに軽く動揺する)君は残念ながらここに残ってもらうよ(縛る動作)

ミツ:なんだこの超展開!

ヤス:なんでか知らないけど君は多くのことを知りすぎてる。このまま犯人を疑われながら爆発に巻き込まれてくれ。

ミツ:まさかの黒幕

ヤス:ゲームギアは電池が切れるのが早いからなぁ。あと15分もして電池が切れたらあのゲームギアは家ごとドカン。

ミツ:まさか!ゲームギアが…

ヤス:まぁそのことを知っているのは君と僕だけだ。カラスミと一緒に消炭になってくれ。

ミツ:なんと!極悪!このまま悪がはびこる世の中になってしまうのか!

ヤス:そろそろ時間だな。…あれ?爆発しないぞ…。なんでだ。(ドアを開ける)

ミツ:(イヤホンを外しながら)あ、お父さんあの変な人は警察に連れて行ってくれた?

ヤス:あぁ。でも…なんで…。

ミツ:あのね。このゲームギアってすぐ電池が切れるからさ!メルカリでACアダプタを買ったんだよ!これでコンセントがついてる限りはずっとゲームが出来るんだ!

ヤス:そうなんだ…。そうなんだ…。

ミツ:お父さん。今日もお仕事お疲れ様!お母さんは相変わらずちょっと不安定だけど。私、お父さんとお母さんの子供で本当に幸せだよ。

ヤス:(少し崩れる)そうか…。お父さん。少し仕事で疲れてたみたいだ。

ミツ:お父さんもソニックするめっちゃ楽しいよ!(お父さんに近づく)あ、コンセント抜けた。

ヤス&ミツ:どおおおおおおおおおおおおん!

ミツ:と言う話なんだけど何気ない日常がどれだけ幸せか伝わった?

ヤス:私は一体1人何役しないといけないんだろうって思ったよ。

ミツ:主題歌は虎舞竜にします。

ヤス:ロード15章を作ってもらおう。もうおしまい!

ミツ:さよならバイバイ!